ブドリ|放射能汚染に負けない生活技術を学ぶ!  

「内部被ばく」 とは、どういうことか?


人体が放射線にさらされることを「被ばく」といいます。


「被爆」という言葉がありますが、これは「爆」の文字からわかるように、原水爆による被害を受ける事を指します。 「放射線を受けた」という意味で使う場合は「被ばく」が用いられます。
「被ばく」は、放射線源がどこにあるのかによって分けられ、「外部被ばく」「外部被ばく」があります。

「内部被ばく」とは、体内に入った放射性物質からの「被ばく」

  体の外から放射線を受けて被ぱくする外部被ぱくに対し、放射性物質をなんらかの原因で体内に取り込んでしまい、 体の内部から被ばくしてしまうことを「内部被ばく」といいます。
  これは「体内被ばく」と呼ばれる場合もあります。
内部被ばくによる影響が出るかどうかの1つの基準としては、年間100ミリシーベルト程度以下の被ばくなら問題ないとされています。
  取り込まれた放射性物質がすべて体内にとどまるわけではなく、実際には原子核を崩壊させながら放射線を出す間に、体内の排出装置によって体外へと排出されます。 「放射性ヨウ素(ヨウ素131など)」「放射性セシウム(セシウム137など)」の危険性が頻繁に報道されるのは、体内に蓄積されやすい性質があるためです。
ヨウ素(放射性ヨウ素も放射性ではないヨウ素も)は甲状腺に取り込まれ、セシウムはカリウムなど人体に不可欠な元素と化学的な性質が似ているため取り込まれやすく、 筋肉などに蓄積しやすいと言われますが、ほぽ全身に集積します。
  しかし、万が-、こうした放射性物質を体内に取り込んでも常にとどまり続けるのではなく、次第に無くなっていきます。 なぜなら、これらの放射性物質は、体内で崩壊して放射線を出しながら、徐々にその放射能を失います。 物理的な半減期は、放射性ヨウ素131で約8日、セシウム137で約30年です。また、こうした物質も排泄などを通じて体外へ排出されていきます。 年齢によって排出期間は異なり、ヨウ素131では、甲状腺からの排出/減衰は年齢依存的で、生物学的半減期が乳児で11日、5歳児で23日、成人で80日程度といわれています。 セシウム137が体から排出される期間は、1歳までは9日、9歳までは38日、30歳までは70日、50歳までは90日といわれています。
  日常の中で内部被ばくが発生するケースには、自然界に存在する土中の放射性物質や放射性降下物が、人間 の吸い込む空気や、飲料水、食物と一緒に体内に摂取される場合です。

  その経路は次の3通りがあります。
1.経口摂取:放射性物質を含んだ水や食物などを□から飲み込むこと  で、その放射性物質が体内に取り込まれる。
2.吸入摂取:放射性物質を含んだ空気を吸い込み、放射性物質が体内に  取り込まれる。
3.経皮吸収:傷口を通して放射性物質が体内に取り込まれる場合基本的  に、皮膚はほとんどの放射性物質の侵入を防ぐことができるので、傷  □がなければ、経皮吸収の心配はありません。ただし、水または水蒸  気状のトリチウム(三重水素)は皮膚を通して体内に吸収されます。
  内部被ぱくと外部被ばくとの大きな違いは、継続して被ばくするかどうかです。 外部被ばくでは、遠くへ避難する、屋内に退避するといった対策によって、新に放射線を浴びなければ被ばく が継続しませが、  内部被ばくでは放射性物質が体内に残っている限り、継続して被ばくしてしまいます。 放射線がDNAに損傷を与え、その結果として身体にさまざまな影響が生じるのです。

■資源エネルギー省「原子力2002」をもとに文部科学省において作成した資料を紹介します。 被ばくする放射線の量と、それに相当する日常生活の例がまとめられています。

日常生活と放射線

放射線の量
相当する例(目安)
250,000
μSv/年
(250mSv/年)
引き上げ後の上限
100,000
μSv/年
(100mSv/年)
緊急作業従事の場合に認められている上限
50,000
μSv/年
(50mSv/年)
放射線業務従事者及び防災に係る警察・消防従事者に認められている上限
10,000
μSv/年
(10mSv/年)
ブラジル・ガラバリの放射線(年間、大地などから)
6,900
μSv/回
胸部X線コンピュータ断層撮影検査(CTスキャン)(1回)
2,400
μSv/年
1人当たりの自然放射線(年間)(世界平均)
宇宙から0.39ミリシーベルト、食物から0.29ミリシーベルト、大地から0.48ミリシーベルト、空気中のラドンから1.26ミリシーベルト
1,000
μSv/年
一般公衆の線量限度(年間)(医療は除く)
600
μSv/回
胃のX線集団検診(1回)
400
μSv/年
国内放射線量の差(年間)(県別平均値の差の最大)
200
μSv/往復
東京-ニューヨーク航空機旅行(往復)(高度による宇宙線の増加)
50μSv/回
胸のX線集団検診(1回)
22μSv/年
再処理工場からの放射線物質の放出による評価値(年間)
10μSv/年
クリアランスレベル導出の線量目安値(年間)

Sv【シーベルト】=放射線の種類による生物効果の定数(X線、γ線では1)×Gy【グレイ】

資源エネルギー庁「原子力2002」をもとに文部科学省において作成

重要「内部被ばく」とは?
もっと詳しく知りたい人は、下記のサイトを見てごらん。
     :ATOMICA原子力百科事典 「内部被ばく」